いえづくり計画㉕ ~ 「買って終わり」じゃない。マイホームに潜む“その後のお金”の話~
2025年6月26日 更新
いえづくりコラムでは皆様のいえづくりの役に立つ情報を発信していきます。
第25回は 「買って終わり」じゃない。マイホームに潜む“その後のお金”の話編 です。
「あれ?ローン返済以外にも、こんなにかかるの…?」
これは、家を買った後にほぼ確実に出てくる“あるある”のひとつです。
マイホームの購入は、多くの人にとって人生最大の買い物です。
でも、その支払いが終わったら“家のお金”は終わり――ではありません。
むしろ、住み始めてからの出費こそ、本当のスタートなのです。
今回は、住宅ローンの先に待つ「見えにくいコスト」の正体と、今からできる備え方についてお話しします。
■ 第2の出費ラッシュは「住んだあと」にやってくる
▶ 固定資産税と都市計画税
毎年春、ポストに届く納税通知書。
「こんなに払うの!?」と驚く人も少なくありません。
一般的な木造2階建て・土地約40坪の一戸建てで、
年間10万〜15万円程度が相場。
固定資産税は築年数で徐々に下がりますが、土地部分の税額はほぼ一定です。
▶ 火災保険・地震保険の更新
家を買ったときに一括払いした場合でも、10年後には更新が必要になります。
近年は自然災害の影響で保険料も値上がり傾向。
10年間で
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火災保険:約15万円〜20万円
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地震保険:約5万円〜10万円(地域・構造による)
が目安となります。
▶ メンテナンス・修繕費
「新築ならしばらくは安心」と思っていませんか?
実は、10年目あたりから家のあちこちに“静かな老化”が始まります。
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給湯器の故障(10〜15年で交換、約20万円)
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外壁のひび割れ・塗装剥がれ(15年目以降に塗装、約90万円〜)
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屋根材の劣化(30年以内に改修必要なケースも)
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シロアリ対策(5年ごとの防除推奨)
合計すると、30年で最低でも200万〜300万円はかかると考えておくのが現実的です。
特に外壁や屋根材は何もしないでおくと、雨漏りの原因にもなります。(当社にも放置していたが故に雨漏りしてしまい、工事の依頼を受けることがよくあります。)
■ 家計を“揺らす”タイミングは、なぜか重なる
実は、こうした支出のタイミングは、
子どもの進学・車の買い替え・親の介護などと重なりがちです。
たとえばこんなシナリオ:
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家購入から10年後 → 外壁メンテ+給湯器交換(100万)
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長男高校入学、教育費月6万スタート
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車検+買い替え → 300万のローンスタート
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実家の親の介護で、生活費支援が必要に
ローン返済だけなら想定内だったのに、
“家以外”の支出が次々と押し寄せて、家計が一気にきつくなる――。
そんな話、実際にたくさん聞いています。
■ じゃあ、どう備えればいいのか?
✔ 家づくりの段階から「住まいの維持費」も予算に入れる
外構やオプションを削ってでも、100万円の“将来積立”枠を確保することをおすすめします。
「いざ」という時に現金があると、家は“資産”として守られます。
実際分譲マンションを購入すると、修繕積立金という名目で毎月一定金額を徴収されますが、戸建住宅でも同様の積立が必要なのです。
✔ 月1万円からでもOK。「住まい積立口座」を作る
車の買い替えや教育費と同じように、
「10年後の家の修繕に向けた預金口座」を今から始めましょう。
月1万円なら10年で120万円。意外と大きな安心材料になります。
✔ 長期優良住宅や定期点検付き住宅を選ぶ
初期費用が少し高くても、将来の出費が読める・減らせるという意味ではコスパ良好です。
「維持管理計画付きの家」は、結果的に家計にやさしい選択となります。
■ まとめ
家は「買ったら終わり」ではなく、「住んでからが本番」。
住宅ローンは“見えているお金”ですが、維持費や税金、メンテナンスは“じわじわと効いてくるお金”です。
でも、だからこそ、
今から準備しておけば、10年後の自分に感謝される家計設計ができます。
買う前に気づけた人が、後悔しない人になる。
それが、いえづくりの真実だと思います。