日本の夏と住宅

2024年7月12日 更新

浅野覚

大阪本店

梅雨に入って蒸し暑い日々が続いています。梅雨が明けると暑い夏がやってきます。私が中学生の頃、友達の家に遊びに行った時の事を思い出します。家の前の路地(舗装されていない土の道)に、打ち水をして涼をとっていました。もちろんエアコンなどない時代でした。半袖、半ズボンで、川柳にもある様に「夕涼み よくぞ男に 生まれけり」の気分でした。もちろん扇子ではなくて団扇で顔を扇いでいました。
 
 日本の夏は高温多湿で蒸し暑く過ごしにくい季節です。日本の住宅は古来から夏に過ごしやすい工夫がたくさんされていました。軒が深く暑い夏の直射日光を避ける事、室内の通風を確保するため引き違いの建具を多用したり、天井近くに欄間を造る、雨戸を鎧戸する、襖を夏用の簀戸に変える、床下の通風を良くする等です。壁を土で作る、瓦の下地をワラ土で葺き湿気を吸収する等、数えきれない程の工夫です。室内では蚊帳を吊って風を通し涼しく寝ていました。実際は、思う程涼しくなかったと思いますが涼しい気分には成れたと思います。すだれや風鈴、朝顔等も涼しい気分に一役買っていたのでしょう。

 日本の古い家は確かに夏向きの住宅でしたが、冬は吹き晒で非常に寒い住宅だと思います。現代の住宅は構造材に木材は利用しますが、室内の仕上げ材に木や土はほとんど利用しません。天井や壁、床に断熱材を充分入れます。室外向けの建具は断熱ガラスを利用します。暑さ寒さを防ぐには十分だと思います。冷暖房機も家じゅうで1、2台あれば室内は快適のようです。進歩したものだと思います。
 家に帰ればエアコンで冷暖房された室内で快適に過ごせる様になりました。
暑い夏や寒い冬を、いろいろな工夫で生活していた頃の気分を忘れず大切にして生活していきたいものです。

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