今日のお話しは上棟式

2021年6月1日 更新

早瀬淳

大阪本店

今日のお話しは、前回の予告通り『上棟式』のお話しです。

 

 今月13日(木)大安:さだん の建築吉日に執り行いました。工程表を作成した時点では、日取りの良い候補日を2日ほど考え、約1か月前に上棟日を決めました。5月の気候の良い時期、雨なんて微塵んも考えていませんでした。ところが、皆さんもご存じのようにGW空けあたりから雲行きが怪しくなり始め、週間天気予報では、ドンピシャの雨マーク。

毎日毎日、朝昼晩、天気予報とにらめっこ。13日前後は日ごとに予報が曇になったり、雨になったり、晴れ?やっぱり雨?。クルクル変わっていく。でも、13日はびくともせず、雨から変わらず。あまりにも日替わりで変わる天気予報に、何日に変更したらよいかも判断できず気をもんでいたら、うちの監督腹が座っているのか、13日上棟決行を決意。その代わり、当日は午前中が雨予報なので作業量を半減させるため、3日前から準備をし、前日には苦労のかいあり準備万端。明日は少々の雨でも大丈夫。備えあれば憂いなし。

 そして迎えた当日の朝。あんなに気をもみ、空を睨みつけていた心配はどこかに吹っ飛び、朝から晴天。晴れ、ハレ、はれの五月晴れ。これは何といっても、お施主様の徳、まさに人徳。みんなが納得する様な、そんな愛されるべき方なのです。

 実は、お施主様も大変心配されていていましたが、工程はズレても構わないので、安全第一で、現場の都合が良いようにして下さいと、云って頂いていました。

 お陰様で、大変和やかに素晴らしい上棟式を行うことができました。

 

 では、どんな上棟式を行ったか、上棟式って何なのか少しお話をします。

 上棟式は、家屋の守護神と大工の神を祀って、棟上げを無事に終わらせたことを感謝し、完成するまで工事の安全と、この家屋が永久に安泰で栄えることを祈る儀式です。

 それと、施主が工事関係者に労いの気持ちを表す場でもあります。

 その作法や用意するものは、その地方、地方で違いがあるようです。上棟を、棟上げ、建て前や建て方とも言います。

 昔は、上棟式は神社から神主に来てもらい祭壇を設けて執り行う神聖な儀式でしたが、最近は神主さんを呼ばず、棟梁や現場監督などの工務店の人が、取り仕切ることが一般的になっています。

 棟が上がると御幣を小屋に南(東)に向けてお祭りします。御幣には施主名、施工主名、上棟日が記され、家が存在する限り小屋裏に祀られ、家を守ってもらいます。

 式はまず、建物を清める儀式、『四方清め払い』から始まります。棟梁(監督)と施主が建物の四隅に、「酒」「米」「塩」を撒いてお清めをします。今回は監督と施主ご夫妻で行いました。

 続いて『槌打ちの儀』を行います。『槌打ちの儀は』棟木を屋根の一番高い位置にある棟に打ち納める儀式で、棟木が千年にわたり安泰であることを祈願する意味を込めて「せん・ざい・とう」と唱え、棟梁が「オー」と応じて、棟木を3度打ち固めます。

続いて、万年にわたり栄える棟であるように祈願する意味を込めて「ばん・ざい・とう」と唱え、これに対して棟梁が「オー」と応じて、棟木を3度打ち固めます。最後に、「えい・えい・とう」と唱え、この建物が永久に安泰で幸多く栄えるようにと全員が祈願し、棟梁が

「オー」と応じて、棟木を3度打ち納めます。

 本来、『槌打ちの儀は』、棟木に取付けた綱で棟に棟木を曳き上げる、『曳き綱の儀』の後に行うものですが、現在は屋根下地まで工事を進めることが多く、『曳き綱の儀』は省略されることが多く、略式で行う上棟式では『槌打ちの儀』を行うこと自体が珍しくなってきています。

 最後に、『上棟の儀』で上棟式を催了します。『上棟の儀』は、お祭りした御幣に向かい、工事の安全とこの家が栄えるようお守りして頂くことを祈り、全員で「2礼・2拍手・1拝」の作法を行います。

 式が終了して、御神酒を棟梁の発声で拝戴し、施主の感謝を込めた挨拶、それに応え、棟梁の良い建物を建てる決意の挨拶が終わり、監督が1本締めで会を締めます。

 その後、施主からご祝儀やお土産を頂き労って頂きました。

 お施主様に大変喜んでいただいた上棟式を行うことができました。

 

 勿論、上棟式を行わないという選択肢もあります。

 棟上げは、家の骨組みが出来上がる工事の節目でもあり、家づくりの中で最も危険を伴う作業を行う日でもあります。上棟式を行わない場合でも作業が終わるタイミングで現場の様子を見に行き、大工さんに一言労いの掛けるだけで、感謝の気持ちが伝わると思います。

 施主に自分の仕事を見てもらい、関心を持ってもらうのは、大工にとって大変うれしく、励みになり、「よし、もっと頑張ろう」と思うものです。

 

大工さんは、施主に声を掛けてもらえるのをきっと待っていますよ。

 

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