間取りの移り変わり

2020年11月6日 更新

浅野覚

大阪本店

 時代の生活様式に合わせて、住宅の間取りは、変化していくものだと思います。今、コロナウィルスの影響で、在宅勤務や、外出から帰った時の消毒等、今までの生活様式が変化しようとしています。例えばテレワークの為の部屋が必要とされたり、家の中に入った時にすぐ、服を消毒したり手を洗ったり、そのまま洗面や浴室に行って体を洗い流したい等、今までの生活動線を見直し、間取りに反映させる必要が出てきています。

 玄関脇に手洗いを作り、外出着の埃を払い収納するスペースを考え、洗面所や浴室に直行する動線を、家の中の動線と交わらないように配置し又、独立した仕事部屋を新たに作る等、間取りが変化して行く時代が、今来ていると思います

 

 私が住宅建設に携わるようになっておよそ50年になります。50年前の住宅の間取りは、どの様なものか振り返ってみますと、1階南側の日当たりの良い場所に応接間や、座敷を配置しDK(大きくて8帖)を北西、北東に作り後は、洗面所、浴室、便所等、2階に洋室、屋根置き式ベランダと言う様な間取りでした。

 システムキッチンや、システムバス等の住宅設備の進化が、間取りに変化を与える要素になりました。例えば50年前の便所は、和式便器と小便器が基本になって2階に便所を作ることは、あまりありませんでした。洋便器のみの便所になるのは昭和55年くらいからでしょうか。キッチンの設備は、ガス台、調理台、流し台、吊戸棚、換気扇等、個別のものを、置くだけでした幅2,400mmくらいが標準のセットでした。浴室は、0.75坪、洗面所も0.75坪、合わせて1.5坪のスペースで計画していました。

 システムキッチンは、まだ外国製のものしかなく、国産されていませんでした。昭和の終わり、平成の初め頃から一般住宅に採用されるようになりました。その頃からDK〜LDKへと間取りが変わり初め、あまり利用されない応接間や座敷がなくなりました。

 システムバスが平成5年頃から出初めると1坪タイプの浴室が標準的になり洗面所もそれに合わせて1坪に変化しました。洗面化粧台が大型していったのも、関係しているのでしょう。50年前は、書斎を設けるのはあまり珍しい事では、なかったのですが、いつの間にか、なくなっていました。今になってテレワークスペースとして復活するきざしが、見えてきたのも、コロナの影響でしょうね。

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